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自己や自社の評価を高めることにも繋がる「ブランディング」とは

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「ブランディング」という言葉は、現在はビジネス界隈のみならず広く世間一般に浸透して使われるようになりました。
しかし同時に、この「ブランディング」はいろいろな意味を持ち、いろいろな使われ方をしていくなかで、その意味があいまいになっていったものでもあります。

ブランディングの本当の歴史を知り意味を知ることは、自己や自社の評価を高めることにも繋がります。
ここでは、「ブランドの定義」「ブランドの歴史」「ブランドの価値」「ブランドの資産価値」などについて解説していきます。

ブランディング

ブランドの定義

まず、「ブランド」という言葉の定義について見ていきましょう。

この言葉は、さまざまな意味を持つ言葉です。
たとえば、角川最新国語辞典では単純に

“商標。銘柄。
―引用:角川最新国語辞典P98|山田敏雄・石綿敏雄
と簡単な解説をしているにとどまっています。
また、インターネットの国語辞書では三省堂の大辞林からということで、

  1. 自己の商品を他の商品と区別するために,自己の商品に使用する名称や標章。銘柄。商標。
  2. 特に優れた品質をもつとして知られている商品の名称や標章。

―引用:weblio辞書
としています。

「ブランド」という言葉をこのように解釈することも決して間違いではありませんが、ややざっくりしすぎた解釈だともいえます。
ビジネスにおいて、特に「自社側」からブランドをとらえる場合の定義として有効なのは、
“交換の対象としての商品・企業・組織に関して顧客が持ちうる認知システムとその知識”
―引用:ブランド戦略論P8|田中洋
あるいは
「個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスと差別化するためのネーム、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの
―引用:戦略的ブランド・マネジメント|ケラー
とする解釈の方がよりわかりやすく、現実に即しているといえるでしょう。

ごく簡単に解説するのであれば、ブランドとは、「顧客側がある商品やサービスに接したとき、『これはほかの会社のものとは違うな』と感じられる記号など(を作り出すこと)」だと言えます。

自社の製品やサービスが、他の会社のものとまったく同じであったり、優位なところや目立つ名前なども何も付けられていなかったりした場合、顧客側が自社の製品を選ぶことはとても難しいといえます。
偶然手に取られることはあったとしても、「その製品やサービスが良くてそれを選んだ」とはいえないため、顧客の確保が難しいのです。

他社との差別化をしていくための戦略が「ブランド化」と呼ばれるものであるのならば、その戦略は顧客の確保に繋がるといえるでしょう。

ブランドの歴史

ここからは、「ブランドの歴史」について見ていきましょう。

ブランドの歴史を定義づけることは非常に難しいといえます。
なぜなら、「どこからをブランドとみなすか」「どんな基準でブランドを分けて語っていくか」の判断基準が非常にあいまいだからです。

ただそれでも、歴史上で起こってきたことを、「ブランド」という言葉で解説していくのであれば、以下のようになるでしょう。

近代以前のブランド

石器時代

まだ人間の歴史が始まったばかりのころは、今よりもずっと拙い石器や装飾品が作られていました。
しかしそれでもそこには作り手の技術や産地の特性が現れていました。
このため、この差をひとつの「ブランド」と考えることができます。
また、交易が始まるようになると、「どこで生まれたものか」を表示することが信用を表す基準ともなりました。

さらに時代が経つと、原始的な意味での「食べ物」「道具」以外の物も出てきます。
たとえば、お酒や調味料、煙草、食品などです。
これらは明確に区別されるようになります。
「胡椒と黄金は同じ価値を持つ」ともいわれていましたが、これは故障が、調味料のなかでもひときわ高い価値を持つ「ブランド」であったからだと考えることもできるでしょう。
このようにして、し好品が徐々にブランド化されていきます。

このような考え方は、近代にいたっても商品やサービスの差別化を行ううえで重要視されています。
ただ近代に入ると、それ以外の手法によるブランド化が起きていくのも事実です。

近代以降のブランド

現代のイギリス

世界を大きく変えた「産業革命」は18世紀半ば~後半にイギリスで起きた変革です。
これは社会構造自体を大きく変えるもので、人類のあり方自体を変えたものだといえます。
産業革命は多くの問題点もはらむものであり賛否の分かれるものではありますが、現在の世界を作り出すうえで非常に大きく貢献したものであることは事実です。

パッケージ型の消費者商品が生み出され、巨大企業が打ち出す商品を好む人が出て来るようになります。
また、「使ってすぐに壊れるかもしれないもの」を忌避する傾向も出てきて、「品質の保証」を求める動きも出てきました。
顧客の感情がダイレクトに反映された商品や顧客の感情に訴求する商品も生まれていきます。
これらがブランドとなっていくことで、徐々に商品は現在のあり方に近づいてきます。

これは「現代(1980年~)」に至るころにはもっと顕著になります。
現在の消費者世界は、近代以前と比べると大きな違いがあります。
そのうちのひとつが、「現在の世界においては、必ずしも『有形の商品』は必要とされない」ことです。
昔は、香辛料にしろ食品にしろ、そこには明確な「形」がありました。
しかし現在では、WEBサービスを代表とする「無形の」商品に対してお金と感情が払われるようになりました。
ITの発達もこれに一役買っています。
また、「サービスにお金を払う」「サービスがブランド化する」という理念も、1980年以降に顕著になりました。
なお、「サービスにお金を払う」と言っていますが、これは「高級なサービスにのみ価値が見いだされるようになった」ということはイコールではありません。
低価格帯の製品には「低価格帯であること」を魅力とする差別化ができるようになりました。
これも一つのブランド化だといえるでしょう。

歴史を「ブランド」という価値観でとらえていったとき、そこには「ブランドという言葉や意味の移り変わり」を見て取ることができます。

ちなみに、ここで取り上げた分類分けも、一つの意見にすぎません。
1930年以前のものはあまり大きくは取り上げられず、1930年以降に注目をして論じる場合もあります。
この場合は、

  • 1930年~1945年まで・・・製造業者が作り出すものよりも、小売業が自社ブランドを重んじ始めるようになり、製造業者が苦難に立たされた時代です。
    ただし、製造業者もまた、有効な広告を打ち出すようになった時代でもあります。
  • 1946年~1985年まで・・・「ブランドをマネジメントしていくこと」という概念や基準が明確になった時代です。
    ブランド・マネージャーに求められるのはオールラウンダーでありマルチプレーヤーとしての働きぶりであるとされた時代でもあります。
    この傾向は現在も続いていると考えられます。

のように解説されます。

いずれにせよ、「ブランド」は時代によって変わっていく価値観です。
また、そのブランドが何を意味するか、どのような価値を持つかも時代とともに変化していっています。
令和の時代においても、新しい「ブランド」を模索していく必要があるのはこのためです。

商標制度

商標制度

ブランドと切って切り離せない単語として、「商標制度」があります。
これは、もっとも簡単に解説するのであれば、

“事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)”
―引用:特許庁「商標制度の概要」

ということになります。
簡単にいえば、「Aという会社が、それ以外の会社と区別するために使うA社独自のマーク」ということになります。
この「商標制度」は非常に重要です。
商標制度がなければ、「人気のあるA社と似たようなマークやサービスを作って、A社のものと誤認させて買わせよう」とする会社が出てくるからです。
また顧客側は、商標によって「これはA社のものだ」「これはB社のものだ」と区別しやすくなります。
書評登録については幾度かの変更を経ており、少しずつ変わっていっています。
平成27年からは、色彩のみによる商標も認められるようになりました。
なお、商標は知的財産にあたり、法律によって保護されています。

商標は、その会社やサービス、商品を表すものであると同時に、「このマークはこの会社のものだ」と顧客に認知させるためのものでもあるのです。
なお、商標は「商標登録出願」が必要ですが、ほかと間違えやすかったり、公益に反するものであったり、事実誤認しやすいものであったりする場合は、登録が見送られることもあります。

ブランド・マネジメント

「自社を、あるいは自社のサービスや商品をブランドにしていくこと」は、他社との差別化を図ることにつながり、ひいては購買意欲を高める(あるいは実際の購買を促す)ものだということはすでに述べた通りです。
しかし、ブランドは勝手にできていくものではありません。
「ブランド・マネジメント」を考える必要が出てきます。

ブランド・マネジメントとは、簡単にいえば、「ブランドの価値を高め、それが顧客に対してきちんとアピールされ、また顧客の期待を裏切らないものであるようにしていくこと」をいいます。
ブランド・マネジメントにおいて重要なことはいくつかあります。

わかりやすく、最適化されたロゴやマークを作る

ブランドロゴ

どれほど情報の多いロゴやマークであっても、そこから物事を読み取るのが難しい場合、顧客はそれを忌避しがちです。
そのため、「より分かりやすく、よりデザイン性に優れており、より訴求性の高いロゴやマーク」を作っていく姿勢が求められます。

自社を適正に管理すること

商品やサービスをブランドにしているのは、その商品やサービスの良し悪しだけではありません。
「それを打ち出している会社がどのような会社であるか」も、顧客側は見ています。
例を挙げるのであれば、いわゆる従業員との確執などを抱えた会社や、知的財産を犯していると疑われる会社の商品に対しては、顧客の目は非常に厳しくなります。
ブランドを守るためには、自社を適正に管理する必要が求められます。

自社商品の価値と価格の調整を行う

人々は、「高品質なのに低価格のものがあるとうれしい」と考えます。
しかしこれは、会社側からすれば非常に難しいことです。
高品質のものであれば低価格で打ち出すことは容易ではありません。
ただ、顧客側も、「低価格のものは低品質である傾向が強く、高価格なものは高品質である傾向が強い」と分かっています。
そのため企業側に求められるのは、自社商品の価値と価格の調整を適正に行うことです。
特に、「高品質でありながら低品質である」となった場合、自社の評価も落ち込みかねません。

時代背景を読み取り、ラインナップを把握する

トレンド

上でも述べたように、「求められるブランドの有り様」は時代とともに変わります。
それを的確に把握しなければ、いわゆる「時代遅れのブランド」に成り下がってしまいます。
また、流行だけをいたずらに追ってしまうと、それはそれで自社ブランドのイメージを悪くしてしまうことにつながります。
このため、ブランド・マネジメントを考えるうえでは、この2つをうまく調整していく力が求められます。

また、新しく商品やサービスを開発した場合、それを既存のサービスとどのようにつなげていくのか(あるいはつなげるべきではないのか)を考える必要も出てきます。

知的財産権の管理を行う

「ブランドを語るうえで、商標権の話は避けては通れない」としました。
自社のブランドの知的財産権が犯されていないかを考えることはもちろん、自社の新しい商品やロゴなどがほかの会社の商標権を犯すものではないかもしっかりチェックしておかなければなりません。
またここでは「商標権」を大きく取り上げていますが、意匠権や著作権も関わってきます。

ブランドの価値

資産価値

ブランドの価値を考えていくうえでは、D.A.アーカー(デイヴィット・アーカー。アメリカの経営学者であり、マーケティング戦略の第一人者)の「ブランド認知」と、ケビン・レーン・ケラー(イギリス・ダートマス大学経営大学院の指導者で、ブランドに関する書籍を出版している)の「ブランド知識」を知っていくことは非常に重要です。

まずはD.Aアーカーの「ブランド認知」から解説していきましょう。
D.A.アーカーの場合、「ブランド認知」という単語は、「ブランドエクイティ(後述します)」を構成する一要素だと位置づけています。
ブランド認知とは、「そのブランドがどれだけ認識されているかを示す度合である」とされていました。
ただし、現在はこの概念自体が大きく変更されています。
その概念の変化を受け手解説するのであれば、現在の「ブランド認知」という単語は、「その商品がどれだけきちんと把握されているか」「生活をする人が、その商品が自分と関わりのあるものであると感じているか」を示す概念にもなっています。
単純に「商品の名前が知られていること」だけではなく、その商品が正しく理解され、また自分の生活に関わりがあるかどうかを知ることも、判断基準となっているわけです。
このブランド認知がきちんと行われていた場合、潜在的な消費者が「●●をしたいな」「○○が欲しいな」と思ったときに、選択肢のひとつとして選ばれやすくなります。

では、ケビン・レーン・ケラーの「ブランド知識」についても触れていきましょう。
これはそのまま、「その商品(ブランド)に対して、顧客が持っている認知度や知識度」を指す言葉です。
そのブランドを知ってもらうだけではなく、そのブランドがどのようなものであるかの知識をつけさせることが、購買に繋がります。
人にブランドの「存在を知ってもらうこと」だけでなく、そのブランドが「どんなものであるか」の知識をつけさせることの意味を解く言葉でもあります。

この2つを合わせて考えれば、ブランドの価値を高めるためにはどのようなことが必要かが見えてきます。
まずはブランドを知ってもらうことが一番初めに必要となることです。
そしてその次「そのブランドがどのような性質を持つものであるか、どのようなことに役立つか」を知識として身に着けてもらう段階が来ます。
そのアプローチが潜在的な顧客に対して「自分と関係のあるものだ」「自分の生活に密接に関わっているものだ」と思わせることができれば、その商品やサービスを手に取ってもらえる確率が大きく上がるわけです。

ブランドの資産価値(エクイティ)

ブランドの資産価値の上昇

「ブランド資産」は「ブランドの資産価値」、あるいは「ブランドエクイティ」とも記されます(ここでは「ブランドエクイティ」と表記していきます)という言葉は、あまり聞きなれないものかもしれません。

これも、D.Aアーカーが提唱し始めた概念です。

「ブランド」とは、目には見えない財産です。
ブランドは「顧客側が持つ感覚」であり、数値化して出せるものではありません。
しかしD.A.アーカーは、その無形のものであるはずの「ブランド」を、「資産(あるいは資産価値のあるもの)」としてとらえようと提唱し始めました。
基本的にはプラスの資産であり、製品の価値を高めるものであると考えています。
この「ブランドエクイティ(ブランド資産)」が製品の魅力を高めてくれることによって、その製品を手に取る人が増えるとしているのです。

この考え方は、業界に大きな革新をもたらしました。
まったくかたちのなかった「ブランド」が、ブランドエクイティ(ブランド資産)と考えられるようになったことで、ブランドを育てていく必要があると認識されるようになったのです。
また、そのためには当然に、「投資」も必要になると判断されるようになりました。

では、このブランドエクイティ(ブランド資産)を構成する要素とは何なのでしょうか。

これは大きく分けて5つあります。

  • ブランド認知
  • 知覚品質
  • ブランドロイヤリティ
  • ブランド連想
  • その他のブランド資産

1の「ブランド認知」に関してはすでに上で述べた通りです。
単純にそのブランドが「知られる」だけでなく、そのブランドが「自分と近しいものだ=選択肢に入れよう」と考えられるようになることを指しています。

2の「知覚品質」についても見ていきましょう。
顧客は商品に接するとき、その商品の品質がどのようなものであるか、またどの程度のものであるかを、意識的にしろ無意識的にしろ考えます。
たとえば、「このA社の商品は出来が良い」「B社は昔事故を起こしたから、この商品も悪い(あるいは悪いに違いない)」と考えます。
この「顧客が知覚する品質」は、必ずしも「事実としての品質」とイコールになるわけではありません。
上で挙げた例だとすると、B社は事故後に改善を繰り返して非常に高品質なものを打ち出しているけれど、A社の特定の商品はB社よりも品質が劣るということもありえるわけです。
しかしそのような「事実としての品質の差」があった場合でも、顧客側がA社の商品を選ぶことはあり得ます。
元々そこまで詳しく品質を調べない・・・という人もいるでしょうし、たとえ事実としての品質の差を分かっていたとしても感覚としてB社のものは選びにくいという人もいます。

この「知覚品質」は非常に重要です。
マイナスのイメージを持たれているところとそうではないところでは、ROI(投資した費用から得られる効果)が2倍以上も違うからです。

3の「ブランドロイヤリティ」とは、「愛着の度合い」を示す単語です。
これが高まれば、当然その商品を継続して購入する確率は高くなります。
これが高い顧客は、そのブランドのファンになり、リピーターになってくれるわけです。

4の「ブランド連想」は、「顧客側がそのブランドを思い浮かべたときに連想できるもの」を指す単語です。
たとえばA社のコーヒーを思い浮かべた時に、「おいしい」「熱い」「一緒にチョコレートケーキが売られている」「スタッフの制服」「季節限定商品」「シナモンやクローブのようなトッピング」などが連想されることを指します。
これが強ければ強いほど、顧客はそのブランドに対して関心を持っているといえます。

5の「その他のブランド資産」は少し特殊です。
これは、「顧客側」というよりも、法律面や取引先との関係性を示すものだからです。
法律面や取引先に守られたブランドは非常に強く、堅固なものとなります。

ブランドイメージ

ブランドイメージを思い出す夫婦

「ブランドイメージ」という単語は、比較的よく耳にするものでしょう。
ただしこの言葉は、実は非常に多くの意味を含んでいる言葉です。

まず、「ブランドイメージ」は、「ブランドミーニング」という言葉を構成するものだと考えてください。
ブランドミーニングは、「そのブランドの持っている意味は、2つのことから成り立っている。
そのうちのひとつが、ブランドイメージである(もうひとつはブランドパフォーマンス)」と解説できます。

ブランドイメージは、「ブランド・イメージ」とも記されます。
顧客に対する心理的なニーズを満たすためのものであり、明確なかたちはとりません。
そのブランドのスペックなどはあまり問題にされず、顧客に「私にはこれが必要だ」「私にはこれが合っている」と思ってもらえるようにするためのアプローチの方が重要視されます。
たとえば、顧客側に訴求するための商品名をつけることや(「ヴィーナス●●」など)、使用状況や個々人の価値観、そして歴史や伝統などにのっとった宣伝ができるかでなどが求められます。

なお、この「ブランドイメージ」と対になる「ブランドパフォーマンス(ブランド・パフォーマンス)」は、その商品自体のスペックや耐久性、デザイン、あるいはサービスなどを指します。
「ブランドイメージ」は無形のものですが、「ブランドパフォーマンス」は有形のものであることも多いのが特徴です。

ブランドアイデンティティ

「ブランドアイデンティティ」は、「ブランド・アイデンティティ」、あるいは略して「BI」と記されます。

ブランドアイデンティティとは、非常に分かりやすくいうのであれば、「企業側が『このように受け取ってほしい』と思う意図であり、そのブランドから関連付けて思い出してほしいと考えるものである」といえます。

ここで重要になってくるのは、「ブランドアイデンティティは、あくまで企業側の視点に基づいている」という点です。
これは、上で述べた「ブランドイメージ」との違いで考えるとわかりやすいでしょう。
ブランドアイデンティティは、「企業側が意図すること」ですが、ブランドイメージは「顧客(消費者)が認識すること」なのです。
つまりこの2つの単語は、同じように「ブランド」という単語を冠していますが、対象者がまったく違うわけです。

さて、この「ブランドアイデンティティ」ですが、これは大きく分けて4つの要素によって成り立っています。

  1. 製品価値としてのブランド
  2. 組織としてのブランド
  3. 顧客などとの関係性によるブランド
  4. 象徴としてのブランド

それぞれを見ていきましょう。

製品価値としてのブランド

これはおそらく4つの要素のなかでもっとも分かりやすいかと思われます。
製品の分野や製品の持っている特性や品質、そして値段などを指すものです。
ただこれは必ずしも「商品スペック」によってのみ左右されるわけではありません。
「最先端の技術を使っている」「信頼のおける国で作られている」なども、この「商品価値としてのブランド」に関わってきます。

組織としてのブランド

組織が持つブランド性をいいます。
たとえば、「非常に優秀な人材で構築されていること」「パイオニアとして分野を切り開いていく力」などがここに分類されるでしょう。
その組織が象徴する精神性をも表すことがあるものだといえます。

顧客などとの関係性によるブランド

商品やサービスは、人によって求めるものが異なります。
ブランドの顧客の人格や所属カテゴリー、そしてその顧客との関係に注目するものです。
ブランドのユーザー層に特徴がある場合、その特徴こそがブランドイメージを形づくります。

象徴としてのブランド

ブランドが作り上げてきたイメージや歴史などに注目したものです。
その商品やサービスと合致した打ち出し方ができれば、これは成功だといえるでしょう。

ブランドアイデンティティは、それを考える企業側に、「自分たちが意図する連想」を見定める力が求められます。
また、ブランドアイデンティティはたしかに「企業側」の視点によって構築されるものですが、それが独りよがりになってはいないかなども気を付けていく必要があるでしょう。

ブランド・パーソナリティ

ブランド・パーソナリティとは、「もしもそのブランドが人間であるとするならば、どのような特性を持った人間か」を表す単語です。
一時期企業の擬人化なども流行りましたが、ブランドに「人間のような性質」を持たせることは非常に有効です。
「自由」、「清潔」、「男らしさ」、「繊細さ」などのイメージ(=パーソナリティ)を表現することで人に覚えてもらいやすくなりますし、ブランド連想もされやすくなります。
親近感をもたれることはブランドにとって大きなプラスとなるでしょう。

私たちは、現在当たり前に「ブランド」という言葉を使います。
しかしそこには、さまざまな意味があり、歴史があり、解釈があります。
自社のブランディングを進めていくためには、これらの言葉を理解し、解釈し、会得していく必要があるでしょう。

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